アニマルズアジアの活動

熊の胆汁農場の廃絶について

ー 熊の胆汁農場の廃絶について -

 

ツキノワグマを主体とし、マレーグマとヒグマも含めると、中国で10,000頭以上、ベトナムで約400頭以上の熊が胆汁農場に監禁されています(2021年1月現在)

これらの熊からは、伝統医学に用いるために胆汁が定期的に採取されます。

 

〇問題点

胆汁は、苦痛を伴う種々のカテーテル法で熊から採取しますが、いずれの方法を用いても熊に大量感染を引き起こします。胆汁の代替として、効果的で手ごろな価格の植物薬や合成薬が多数利用できるにも関わらず、このように残酷な慣習が未だに続いています。

 

胆汁農場の熊たちは皆、非常に小さい檻に収容されています。中国の胆汁農場では、檻があまりに狭いため、熊が体の向きを変える、四歩足で立つ、などの行為すら不可能な場合もあります。このような状態で、最長で30年近くも檻に監禁され続けている熊もいます。大半の熊は飢餓・脱水状態にあり、複数の病気や悪性腫瘍に冒されていて、最後はそれらが原因となって命を落とします。

 

〇活動の重点分野

アニマルズアジアは、胆汁農場を廃絶するために、5つの分野に重点を置いて活動しています。

 

1、ベアーレスキューセンター(保護施設)

アニマルズアジアは、中国とベトナムで受賞歴のあるベアーレスキューセンターを運営しています。そこでは、熊のケアとリハビリを行うほか、ベアケアチームが、胆汁採取によって熊が受ける影響に関する重要な証拠を収集しています。中国の成都、ベトナムのタム・ダオにある受賞歴のあるのベアーレスキューセンターでは、熊に快適な洞穴を与えて半自然の柵で囲っており、そこでは熊が安全な環境で健康を回復し、余生をほかの熊たちと共に過ごすことができます。現在まで、密猟者に捕らえられたり、胆汁農場で飼われていた600頭以上の熊をアニマルズアジアのベアーレスキューセンターに迎えています。

 

ベアーレスキューセンターで熊がリハビリを受ける間、ベアケアチームが定期的に健康診断を行い、日常的に観察して、熊の行動と健康状態を注意深くモニターします。これにより、熊が可能な限り最善の治療を確実に受けることだけでなく、熊が胆汁採取によって受ける身体的・心理的影響に関する生体上の科学的証拠をスタッフが収集することも可能になります。アニマルズアジアが発表する報告とデータは、科学コミュニティでツキノワグマに対する注目度を高め、胆汁採取ビジネスの残酷性について社会的認識を高める手助けとなっています。

 

また、ベアーレスキューセンターでは、周辺に住む250人以上の中国人・ベトナム人を、熊の世話、園芸、餌の準備、警備などの業務に直接雇用しています。その他、サービス業、建設業などを通して、地元の人たちに間接的に職を提供しています。

 

2、需要の削減

アニマルズアジアは、熊の胆汁の代替となる植物薬や合成薬の使用を奨励し、胆汁の需要を削減するために、伝統薬を用いるコミュニティやその他の消費者たちと協力しています。また、中国とベトナムの病理学者、肝臓の専門家などと連携し、胆汁農場にいる病気の熊の汚染した胆汁を人間が摂取することにより、人間の健康が受ける影響について証拠を収集しています。

 

3、胆汁製品のビジネス

アニマルズアジアは、熊の胆汁を使用した製品の生産者、販売者および末端消費者を記録し、同製品を扱うビジネスの所在、規模、運営の最新情報を維持するように努め、胆汁製品の市場動向変化を監視しています。

 

4、社会の認識

アニマルズアジアは、胆汁製品ビジネスの残忍性について知ってもらい、胆汁農場廃絶に向けた支援を確立するために、中国とベトナムで社会認識の向上を目指すキャンペーンを大規模に展開しています。広告によるキャンペーンを行い、コミュニティセンター、学校、伝統医学の大学などで講演を行っています。中国、ベトナムほのか、国際的なメディアとも協力し、胆汁ビジネスの非人道性を広く報道しています。また、胆汁農場廃絶への協力を表明する著名人たちが、メッセージを社会に伝えるために協力しています。

 

また、何十もの動物愛護団体、二十校以上の大学の学生団体などが、街頭広告、写真展、劇、ポスターアート、ソーシャルメディアなどの手段を用いて、一般大衆にメッセージを届けるために協働しています。

 

5、政府機関と政策 

アニマルズアジアは、胆汁農場廃絶に対する支援を確立するために、中国、ベトナムおよび国際的な政府機関、国民の代表者、政策立案者などと関与しています。北京とハノイでは当団体の上級スタッフが政治、ビジネス、法律、文化といった分野のリーダーたちに対し、熊の福祉に対する支援を集めるためにロビー活動を行っています。著名人、科学専門家、その他影響力のある人たちからも支持を得ています。