アニマルズアジアの活動

犬猫の福祉・捕獲動物の福祉について

ー 犬猫の福祉 ー

 

〇問題点

中国では犬や猫が頻繁に遺棄され、遺棄された犬猫たちは生き残るために路上で暮らし、その多くが病気や事故で命を落とします。政府機関は野良犬の数を削減するために、残酷にも犬の一斉殺処分を計画的に行います。

また、野良犬・野良猫が路上から連れ去られ、市場に連れて行かれて人間の食用に売買されることもあります。

 

〇活動の重点分野

アニマルズアジアは、犬猫の福祉を改善するために、5つの分野に重点を置いて活動しています。

 

1、地域団体への協力支援 

アニマルズアジアは、中国全土にある動物愛護団体に対して資金とトレーニングを提供しています。これらの団体は、犬猫の保護やその他の福祉におけるイニシアチブを発揮して、直接的にコンパニオンアニマルを救済しています。これらの団体の代表者が集まって会議を開き、問題点と解決法について協議・討論を行っています。アニマルズアジアの支援のもと、これらの団体は野良猫のTNRプログラム(捕獲・去勢避妊・解放)を各地域に紹介し、プロモーションイベントのための宣伝活動と資料作成を実現しています。また、これらの団体に対し、ワークショップや獣医師向けのトレーニングも実施しています。

 

2、人道的な個体数管理 

アニマルズアジアは、犬猫の個体数を人道的に管理し、疾病対策措置をとることを促進しています。その手段として、シンポジウムの開催、野良猫のTNRプログラム(捕獲・去勢避妊・解放)に対する資金とトレーニングを提供しています。中国全土の当局者と動物愛護団体が、アニマルズアジア主催の『人道的な犬の管理』『人道的な野良猫の管理』などのシンポジウムに出席し、野良犬・野良猫の個体数を管理する効果的かつ人道的な方法について学べるように後援しています。各都市と連携し、責任を持った犬の飼い方、去勢と避妊、狂犬病ワクチン接種、飼い犬登録といった問題点に関して助言をするほか、野良猫のTNRプログラムの紹介と実施を支援をしています。

 

3、食用肉の売買 

アニマルズアジアは、中国国内の生きた動物の市場、犬の屠殺場、レストランについて調査を行い、虐待に関するリストを作成し、犬食産業に関連する残虐性、違法性、人間の衛生上に生じる懸念について、政府と社会に知らせています。また、中国内で現場責任者が犬猫の食用売買の主流となる残忍な、そして多くの場合は違法な施設を定期的に訪問し、記録をつけています。犬猫の売買市場、屠殺場、レストランなどに関する重要な情報と証拠――調査報告書、可能な場合には写真や動画など――を収集し、関係当局に明確に訴え、事態改善に向けた協力を促すことに活用しています。また、収集した情報と証拠は、社会認識の向上キャンペーン、写真展示とバナー、メディアによるインタビューなどを通じて、食用肉売買の非人道性に関し社会の注意を喚起するためにも用いています。

 

4、社会の認識

アニマルズアジアは、犬猫の問題に対する社会認識を向上させるキャンペーンを大規模に行っており、犬猫は人間の食ベ物ではなく友達であるというメッセージを広めるために、多数の革新的手段を用いています。署名運動、動物フォトコンテスト、中国全土でサイクリストがポスターを掲げて自転車に乗る活動、教育的ワークショップといった独創的な活動を主導し、動物の福祉とコンパニオンシップについて主張を訴えています。

 

アニマルズアジアの『ドクター・ドッグ(Dr Dog)』『プロフェッサー・ポー(Professor Paw)』というアニマルセラピー・プログラムを通して、全ての動物に対し共感を持ってもらうために、アンバサダー(親善大使)を活用しています。

 

5、政府と政策

アニマルズアジアは、犬食・猫食の廃止を支持し、コンパニオンアニマルを虐待から護る法律への支持を集めるために、中国の政府機関、国民代表、政策立案者と連携しています。

野良犬・野良猫、飼い犬・飼い猫の両方の個体数の人道的管理について助言するために、中国全土の地方自治体と連携しています。犬の去勢・避妊、狂犬病予防ワクチン接種、飼い犬登録などの問題点に関しアドバイスをすること、また、猫のTNR計画の紹介と実施を支援することを目的に、各都市の当局と協力しながら、最良の実践方法を知ってもらうためのシンポジウムやワークショップを開催しています。また、ドクター・ドッグ、プロフェッサー・ポーといったアニマルズアジアのプログラムからアンバサダーを活用し、責任を持って犬を飼うための飼い主向けコースも開催しています。

 

現実に行われている行為の非人道性を確実に認識してもらうために、生きた動物の売買市場を訪問して収集した証拠を関係当局に提出しています。現行法令のより厳格な施行を促すほか、他の動物愛護団体と共同で、中国に動物愛護法の導入を求める運動を行っています。

 

 

ー 捕獲動物の福祉 ー

 

〇問題点

中国の動物園やサファリパークにいる動物は、数々の虐待に苦しんでいます。捕獲された野生動物の多くは、牙や爪を短く刈られています。また、鎖につながれて撮影用の小道具として扱われたり、観客を喜ばせるために自然に反した屈辱的でストレスを感じる、サーカス様式のパフォーマンスを強いられたりすることもあります。

動物にパフォーマンスを強要するには、残酷で虐待的な手段が用いられます。また、これらの捕獲動物は、許容し得る標準的福祉レベルをはるかに下回る環境で監禁されていることがほとんどです。これらの動物たちは、飼育放棄と劣悪な管理のせいで、歩き回る、体を揺さぶり続けるなどといった深刻な常同行動(一見無目的に見える同じ行動を繰り返すこと)を表します。ほとんどの動物は医療的ケアが施されることなく、治療を受けないまま病気や傷害に苦しんでいます。

 

〇活動の重点分野

アニマルズアジアは、動物園とサファリパークにいる動物の福祉を改善するために、5つの分野に重点を置いて活動しています。

 

1、調査

アニマルズアジアは、中国の動物福祉における問題点を認識するために、中国全土の動物園とサファリパークで調査を行い、その結果を施設管理者と政府機関に報告しています。

法規制が好ましく変化していくような影響を与えるために、調査で収集した証拠を活用しています。

 

2、福祉の向上

アニマルズアジアは、中国の動物園とサファリパークの動物管理スタッフ向けに、捕獲動物の健康と福祉のニーズを満たすための教育的ワークショップを開催しています。中国全土の公共施設にいる捕獲動物の待遇を改善するよう奨励し、また、改善を要求する運動を行っています。

捕獲動物に刺激を与え、自然な行動パターンを促し、常同行動を防ぐために、エンリッチメント(感情を豊かにする)プログラムを活用できる方法を実証しています。また、動物の福祉向上を目的として、エンリッチメントのための簡単なおもちゃや屋外施設の作製方法、周期的なエンリッチメントプログラムの活用方法などについて、実践的ワークショップも開催しています。

 

3、獣医師のトレーニング

アニマルズアジアは、中国の動物園に受持する獣医師向けに、臨床技術の向上を目指すワークショップを行い、最新の動物福祉の概念と獣医学の専門的技術を紹介しています。

 

4、社会の認識

アニマルズアジアは、動物への共感を養い、動物園やサファリパークで行われている種類の行為に対し社会認識を向上させるために、中国の児童や学生に対し、動物福祉と動物の感情に関する講義やワークショップを実施しています。

知識を持つことが変革の鍵であるという信念の普及を目的に、中国各地の小学校から大学までの子供や若者と対話し、全ての動物には私たち人間と同様に身体的欲求と感情があること、また、どんな動物にも私たち人間の娯楽のためにパフォーマンスを強要する行為は誤りであることを、メッセージとして伝えています。

 

5、政府と政策

アニマルズアジアは、中国の政府機関、市民代表、政策立案者と連携し、中国の動物園とサファリパークにいる動物たちを放置と虐待から保護することを促進しています。

また、中国国内の動物施設に従事する動物管理者と獣医師に対し、動物福祉に関する講演とワークショップも開催しています。